タウンページは、街の商店などが職業別で掲載されている電話帳です。電話帳の歴史は古く、最古のものは明治23年発行と言われていますが、固定電話の普及とともに全国に広がり、昭和58年にタウンページという名称に改名されました。
にもかかわらず、タウンページの昨年度の発行部数は5176万部とV字回復。今年度末には、ピーク時に並ぶ6000万部レベルにまで復活する見通しです。
転機は4年前。タウンページはそれまで、固定電話の加入者だけに配布されていましたが、このままでは目減りする一方だと、加入の有無を問わず、戸建てやマンション1軒1軒に「ポスティング」していく全戸配布方式に切り替えたのです。とにかくたくさん発行してたくさん配り、まずは読んでもらう機会を増やすという戦略です。
新しい戦略で、広告の減少に歯止めがかかり、売り上げの減少幅も縮小してきたとのことですが、回復までには至っていません。一方で、ポスティングには人件費、部数の拡大には紙や印刷の費用がかかりますから、収益を圧迫します。
強みの1つが、地元の情報を網羅していることだといいます。レストランであれば専用の検索サイトから調べられますし、大きな病院もホームページを持っています。しかし、インターネットに対応をしていない小さなお店や町医者などにとって、タウンページは貴重な情報の掲載場所です。
ところが電話番号を調べるのもスマホ1つで済む今では、電話帳の存在感は薄れてきています…。
そのはずが、調べてみると、タウンページの発行部数がここ5年間で1000万部以上も増えていることがわかりました。この意外な現象を調査します。(経済部記者 吉武洋輔)
固定電話とともに衰退
電話帳はNTTの固定電話の加入者のみに配られ、ピークの平成9年度には6200万部が発行されました。ところが携帯電話の普及に伴って固定電話の加入者が減少。平成25年度には3800万部まで減りました。
一転急増のワケ
最近世間では、レコードの復活という現象も起きているので、レトロなものが復活し始めたのか。それとも内容が変わったのか。理由を確かめるため、東京・港区の「NTTタウンページ」を訪ねました。
従業員2200人でタウンページの編集・出版を行うとともに、掲載されている電話番号をネット検索できる「iタウンページ」というサイトも運営しています。
この会社で電話帳に携わって35年になるというプロダクト部の栗原一知部長が“常識外れの戦略”と前置きしたうえで、発行部数が回復した理由を教えてくれました。
なぜこんな対応に乗り出したのか。理由は、タウンページの売り上げです。タウンページは商店などの広告も掲載していて、その広告料が売り上げになります。ところが、部数が減ってしまえば広告を掲載する魅力は落ち、広告減→収入減→発行減→広告減というスパイラルに陥ってしまいます。これを食い止めようと、部数を拡大し始めたのです。
強みの“地域情報”生かせるか
それでも起死回生を目指すのは、栗原部長らがタウンページの強みを信じているからだといいます。読む人が増えるかどうかわからない中、部数を増やすのは資源のむだにつながるという声も聞こえてきそうですが、「保有しておきたいと思われる情報を届けている」としています。
実際、初めてタウンページが家に届いたという固定電話を持たない20代の若者からは「いろいろな情報が掲載されていておもしろかった」という声も寄せられたとのことです。
また、掲載情報の信頼性を高める努力もしています。例えば「○○弁護士事務所」と掲載したいという要望があった場合でもすぐに掲載はせず、地域の弁護士会に確認をとるなどあやしい業者を排除しているということです。
インターネット、スマホ、さらにはAI。さまざまな新技術が、生活を便利にする一方で、従来のモデルから脱皮できない企業やサービスがその姿を消していく厳しい時代です。「強み」とするその情報で生き残っていけるのか。タウンページの行方に、時代の潮流が見えるかもしれません。
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